家族留学で久賀島にやってきました。

私には中学3年、小学校2年、幼少(4歳)の3人の子どもがいます。その長男が中学1年生の夏休み明けから不登校になり、適応指導教室にも通いましたが、そこも行かなくなり家族にストレスが充満し始めました。私は看護師として夜勤もあり、子育てに余裕がありませんでした。ひきこもる子供に親としてどうしても許せない自分がいました。なんとかならないものかと家族留学をインターネットで調べて五島列島にやってきました。去年の11月に現地見学を行い、奈留島と久賀島の学校を観ました。そして子供が、久賀島がいいと話し、久賀島に家族留学をすることになったのです。

子どものひきこもりには、地域に同級生の目があり、外出はいつも夜でした。転校当日の日にサッカーボールを持って学校に遊びに行きました。長男は外出したかったのだとつくづくと思いました。下の子どもたちには、お兄ちゃんのことだけ考えて、久賀島にやってきてよかったのかと考えもしました。しかし、お兄ちゃんが行くなら僕も行ってもいいと次男が話してくれました。

長男にとって、大きい学校から小さな学校への転校は大きな出来事でした。おとなしい子であり、大きな学校では名前を覚えられない子、目立たない子でしたが、小さな学校では代表にも選ばれる。最初は大変だ、いやだと話していましたが、それを乗り越え、成長しています。埋もれていた子がいい勉強をしています。

中3の長男は、今年で中学校を卒業します。久賀島には高校がなく、島から出なくてはなりません。長男は、五島の高校を選び進学したいと言っています。一緒について福江島に行ってもいいですが、長男は仕方なく下宿するしかないと考えているようです。

子どもが帰りたいと言えば、帰らないといけません。埼玉に帰りたいと言えば帰ろうと決めています。五島が気に入ったらここにいてもかまわない。埼玉には家があるから帰ろうと思えばすぐに帰れる。高校を頑張れば、長崎県内の大学もある。ゆっくり考えなと長男に言っています。

久賀島には仕事がないと聞いてきました。福江島にあるハローワークに看護師の仕事を探しに行ったら、集落支援員の仕事が久賀島にあると聞きました。3年の任期ですが今はこの仕事を頑張りたいです。

子どもが元気で学校に通えているのは地元の人のおかげです。学校の先生方のおかげです。また不登校となるのではないかと心配していました。ありがたいと切に思っています。

子どもは自信がないまま生きてきました。地域の皆さん、学校の先生が長男を見ていて、頑張った、頑張ったねと言ってくれます。自信をもっていいと温かく話してくれます。そんな会話すら都会ではできませんでした。

教職員住宅に住んでいます。久賀島は何もないところだと心配していました。しかし、不便さを感じません。ゆっくりした時間が心地よいです。都会にいた忙しい日々、子どもたちと夕食を食べる時間さえありませんでした。

正直、家族留学は自分のためかも知れません。学校に行くのが当たり前だ。ひきこもる子供を認められない自分がいました。正直、逃げ出したかったのです。

今は、久賀島に住んでよかったと思っています。

writer : 関口祐子