香川県沖の瀬戸内海に人口20名、平均年齢80歳の島がある。私は2017年からこの「手島」に香川県立丸亀養護学校から無償で提供してもらった花の苗を季節ごとに1000ポットづつ植え続けている。京大農学部の学生との縁でスタートさせた「花と昆虫の楽園キャンペーン」は島民や知人達も加わって今年の夏で8回目を迎えた。周囲10キロ程の小さな手島はいつ訪れても道端には可憐な花が咲き、昆虫たちが人々を暖かく迎えてくれている。島民が自然を愛し、有機栽培で自給自足の暮らしをしているお陰である。
しかし、従来の島の秩序を変えたくない。そして、島外の人が島に入ってくることに対する不安といらだちが島民の間にも見えてくる。そんな私に大きな気付を与えてくれたのが、今回の久賀島訪問であった。
長崎はかって日本で唯一海外に門戸を開いた重要都市であり、五島列島の教会群は2018年に世界文化遺産に登録された。日本政府の関係省庁から手厚い保護を受け、注目度は瀬戸内海の島とは比較にならないと思っていた。しかし、久賀島は手島と同様に豊かな自然が広がっているものの、昭和30年に約4000人程いた島民は現在では300人に減少し、過疎の波は押し寄せていた。
その中で、旧家を改修した久賀島観光交流拠点センターに移住した 若者が島民と共に島の拠点作りに精を出していた。「色々あるけど、久賀島にしかないモノを魅力として発掘していきたい。」と明るく答えてくれた。
又、4年前から久賀診療所に勤務するドクターは外務省で25年間海外勤務を経てここにやってきた。看護師の資格を持つ奥さんは元海外青年協力隊員。彼女は買い物難民の高齢者のために小屋を八百屋に改修し、高齢者の見守りをしながら、島留学の子供達を自宅で受け入れていたと言う。自分に出来ることはなんでもやってみる。
地域を元気に出来るカギは「資金」でも「組織」でもなく「人材」だと言うことを久賀島訪問で改めて学ばせてもらった。
手島にも今春陶芸家カップルが2組移住してきた。さぁ、皆で知恵を出しあって島の未来を作っていこう。
writer:四国夢中人代表 尾崎美恵