大型クルーズ船観光を考える。

福江港に停泊する大型クルーズ船、来航するのは1年に3回程度

先日、久賀島に行く福江港で大型クルーズ船が寄港しているのに遭遇。富裕層を大量に運べる大型クルーズ船。福江港は2006年にクルーズ船が停泊できる大きな波止場が整備され、3万トン級クルーズ客船の入港、接岸が可能となりました。でも大型クルーズ船は年間3回程度の寄港に留まります。どうしてなのでしょうか。

大型クルーズ船は都会のビルのように大きい(福江港)

ぱしふぃっくびいなす(大阪)の乗組員はかっこいい!

2018 年のクルーズ船の我が国港湾への寄港回数は、前年比 5.9%増の 2,928 回(外国船社 1,913 回、日本船社 1,015 回)となり、過去最高を記録しました。港湾別では、第1位が博多港の279 回、第2位は那覇港の243 回。第3位は長崎港の 220 回。佐世保港は108回寄港し第8位です。外国人の乗客と乗員の上陸人数は約245万人とこれも過去最高を記録しました。なぜこんなに長崎県が多いのかと言えば、日本と中国の最短距離にあることが大きな要因です。莫大な燃料を使わなくていい。長崎県はサスティナブルな玄関口なのです。

カボタージュ規制

日本は国内船舶業を保護するためカボタージュ規制を布(し)いています。カボタージュ規制とは、自国内の内航海運は自国船に限るというルールです。2017年の国土交通省のデータによれば福江港に年間3回寄港とありますが、大型クルーズ船が九州本土に観光客を運ぶことが使命であれば中国のクルーズ船は五島には来ていないことになります。先日、福江港でみたクルーズ船も日本船籍で日本人観光客でした。福江港でインバウンド(外国人観光客)は望めないのでしょうか。

現代の出島政策

シンガポールはクルーズ船の世界的なハブ(拠点港)です。2012年に大型クルーズ船が複数停泊できる港を整備し、大人数でも出入国管理が一括でできることを謳い文句に誘客を進めています。このハブ港に年間400万人を超える観光客が押し寄せ、大きな経済効果を上げています。このハブ機能は、福江港と長崎港と佐世保港で分散対応ができるのではないでしょうか。ここは、伝家の宝刀、国家戦略特区を使い福江港と長崎港と佐世保港はクルーズ船のハブとして複数寄港を可能とし、大量出入国管理をスマート税関(顔認証、声認証等)により実現させてもよいことにすれば、五島列島への立寄りは増えますね。現代の出島政策。まさにシンガポール。

クルーズ船の難点は連れてくる観光客が宿泊客ではないことです。つまり大量誘客によるオーバーツーリズム。そして大きなお金を落とさない。ただ、五島列島の離島間を結ぶ内航海運の経営を守ることを条件にこの規制が緩和されればクルーズ船の寄港が一段と増え、内航海運の観光需要も増えます。観光バスやタクシー需要も増えます。五島列島はたとえ通過客であっても昼食滞留と内航海運により収益をあげることは可能です。日本全国に寄港を認めると誘致合戦で地方自治体が疲弊します。長崎県だけの特例とするのがポイントです。クルーズ船誘致に力を入れるのは神戸市です。ここは少し我慢してね。

久賀島はクルーズ船の恩恵を受けられるか。

久賀島は世界遺産登録で脚光を浴びています。では果たして久賀島は、観光振興で収益があげられるのでしょうか。答えはそんなに恩恵を受けられないが正解でしょう。長崎県全体は大型クルーズ船観光で稼ぐべきと思います。日本で一番立地がよいのですから。でも久賀島は静かな集落があればこそ、価値があると思います。クルーズ船の恩恵は受けられなくてもいいのではと思いますがいかがでしょうか。また長崎県が観光で地域活性化、地方創生につなげるためには、よほど知恵を働かせなければなりませんね。このことは、実は企業誘致、大規模店舗進出でも同じことが言えるのではないでしょうか。

久賀島に向かうシーガルの出発時刻を気にしながら、大きなクルーズ船を見上げ船やゆるキャラの写真を撮っていたら、なんと観光客を歓迎する直売テントの中に奈留島の三兄弟工房の勝幸さんがいるじゃないですか。売れないんじゃないの?売れてますよ!

大型クルーズ船の大量誘客に五島列島の2次離島の不向きは明らか。クルーズ船が停泊できる大きな波止場まで来て、定常的に商売できるのもいいですね。免税適応の浅草寺の仲見世通り。久賀島にも素敵な商品がありますよ。ともかくも大型クルーズ船観光でお金を稼ぐのであれば、そのお金を集落存続にうまく活用してほしいものですね。

左からごとりん、バラモンちゃん、つばきねこのみなさん

クルーズ船観光客に木工品を販売する三兄弟工房の葛島勝幸さん(奈留島)

久賀島で販売されているストーンペインティング

日本二十六聖人のロザリオ(制作 三兄弟工房)

2019年11月25日、日本政府より教皇フランシスコ訪日記念の贈答品として、「長崎五島産椿 日本二十六聖人のロザリオ」が安倍首相から教皇様に贈られました。そしてなんと、ロザリオの十字架と贈答用のケースは三兄弟工房で作られたものなんです!!十字架については以前より作らせていただいていたのですが、ありがたいことに今回ロザリーマリアさんからお声かけいただき協力させていただきました。しかもケースの裏には「制作 三兄弟工房」の文字も。。。嬉しすぎますね!ちなみにケースは江上教会の敷地内の倒木を使用しています。数年前に廃棄予定だったものを何かに使えるのではないかと三兄弟の長男が持ち帰ってずっと眠っていたんですが、この時を待っていたのかもしれませんね。貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました!!(葛島勝幸さん)

長崎五島産椿 日本二十六聖人のロザリオ(制作 三兄弟工房)

writer : 「久賀島Life」編集長 斉藤俊幸