離島で学ぶ長崎県立大学

私は学生時代に三重県鳥羽市の沖合の答志島で集落をテーマに卒業論文をまとめました。海苔の集荷場に滞在し、アンケートをとったり地図を作ったりしました。現場で汗をかき、集落のことを研究したのはいい経験になりました。長崎県立大学訪問のため佐世保に行ってきました。同大学も離島がキャンパス。学生たちはよい学びを離島を舞台に展開しているようです。学生たちの離島での経験はその後の人生で役立つと思います。長崎県立大学、頑張ってください。(佐世保で念願の佐世保バーガー食べることができましたことを付け加えます。)

長崎県立大学は五島列島に最も近い大学

長崎県立大学は五島列島に最も近い大学です。JR佐世保駅は日本最西端の駅です。駅を出るとすぐに佐世保港につながっています。広い遊歩道のある港のその先に五島列島はあります。五島で獲れた魚は佐世保魚市に水揚げされることが多いと聞きました。五島列島と佐世保の関係は深いですね。長崎県立大学は“離島は第3のキャンパス”をキャッチフレーズにしまなびプログラムを進めています。同校はJR佐世保駅からレトロな松浦鉄道に乗り20分。大学駅を下車すると徒歩圏内で到着します。大学の周辺はアパート群。玄関口にはたくさんの自転車。全学生が履修するしまなびプログラムが長崎県立大学の大きな特徴です。

   長崎県立大学佐世保校はJR佐世保駅から松浦鉄道に乗り換え大学駅を下車

離島は第3のキャンパス

長崎県立大学は佐世保校(佐世保市)とシーボルト校(長与町)の2つのキャンパスを持った大学です。5 学部9 学科あり、佐世保校には経営学部(200人)と地域創造学部(250人)があります。またシーボルト校には国際社会学部(60人)、情報システム部(80人)、看護栄養学部(100人)があります。長崎県の最大の特徴は離島県であることです。そして同大学は、離島県長崎県の県立大学として「しま」を第3のキャンパスと位置づけ、全学部学科のすべての学生が長崎のしまで1週間のフィールドワークを行い、しまの課題・問題を認識し、解決・提案を導く授業を行っています。対馬、壱岐、五島、新上五島、小値賀、宇久、的山大島の7つの地域が活動する現場です。地域で活動した学生は毎年10月に7つのしまをTV会議で結び「しまなび」報告会を行っています。このプログラムは主体的・実践的に学ぶPBL学習法(課題解決型学習法)を導入して行われており、「しま」での体験を通じて、グローバル(世界)な視点を持つとともに、ローカル(地域)な視点で地域課題に取り組んでおり、グローカル(世界と地域の両面に精通する)人材の育成を目指しています。では大学が使っているPBL学習法を少し説明させていただきます。

佐世保は上五島に近いけど下五島に向かう航路は運休中。

佐世保港から五島列島は近いけど福江島は遠い。

PBL学習法とは何か。

PBL学習法とは課題解決型学習法と言われる学習法です。教育の中で知識の詰め込み、暗記力の養成は必要とされない時代となりました。それよりいかに自らが問題を発見し解決するかの能力を養うかが問われています。100年以上、先生は黒板を背に教え、学生は受動的な姿勢で勉強してきましたが、それでは問題解決ができないことが分かってきました。それより学生自身の主体性を引き出すことが大切であり、それも正しい答えを導き出すことが重要ではなく、答えにたどり着くまでの過程が大切だという考え方です。生き抜く力、切り拓く力が問われています。このため、学生は五島列島の現場に入り、問題を見出し、みんなで協議し、どう解決すべきかのトレーニングを積んでいるのです。これがしまなびプログラムのポイントです。

五島列島の島々に地域課題はあるのか。それはたくさんあります。例えば五島列島は、全域有人国境離島の対象範囲かと言えばそうではありません。西海市に属する人口150人の平島は対象から外れています。どうしてなのか。不公平ではないか。どうすべきなのか。こうした問いを自らが見出し、理論化します。話し合う根拠を見出すのです。そうすることで争いごとは起きない。問題提起を理論化し世界に伝える。この手法を駆使し世界や地域を縦横に渡り歩く人材が求められています。しまなびはこうしたトレーニングを大学時代に培い、生きる力を身につけてほしいと立案されたプログラムです。

講義科目「長崎のしまにまなぶ」演習科目「しまのフィールドワーク」学生用手引書表紙

離島高校出身枠の推薦入試

また、同大学は全国的に類がない地域政策学部公共政策学科に5名、看護栄養学部看護学科に3名の離島高校出身枠の推薦入試の制度を有しています。長崎県立の大学として、卒業後に「しま」に戻り、「しま」の将来を担う人材を育成するための入試制度です。長崎県では大学入試センター試験を離島会場として4会場(五島、新上五島、壱岐、対馬)設けています。全国的にもこれだけの離島会場数を設置しているのは長崎県のみです。島で学び、地域や世界で生きることができる人材を養成する大学が長崎県立大学なのです。離島人材を育成する長崎県立大学に期待します。

「しまなび」プログラム(出典:長崎県立大学)

佐世保校

シーボルト校

writer : 「久賀島Life」編集長 斉藤俊幸